Category: Letter from Hokkaido (1/1)
文明前線北上中
まだ7月だというのに,あまりに暑すぎる.毎年同じことを言っているような気もするし,去年はこんなに暑くなかったような気もする.喉元過ぎれば何とやら,ということらしい.この際,去年と比べた相対的暑さはどうでもいい.ただ絶対的に暑くて耐えられない[…]
もうピアノの音は聞こえない
また実家に帰ってきた.帰省の頻度が上がって以来,帰省のたびの”実家界隈What’s new”はさほど多くもなく,せいぜい庭に植えたピーマンがよく育っている,とかよくわからない近況を聞かされることが多かった.ところが今回は何かと言うと実家にあ[…]
めくるめく
北海道の短い春がやってきた.1月に来たときには深い雪に覆われていた公園もついに新緑が芽吹いて,ペンペン草も残っていなかった極寒の季節をどうやってか生き抜いたエゾリスが走り回っていた.雪に閉じ込められた長い冬から短い春へ,4ヶ月で確実に季節は[…]
丘の上にひとり
明け方の北大通を白い息を吐きながら歩いて始発に乗って湿原を見に行った翌日は,鈍行列車に揺られて降りた何もない駅から歩くこと数十分,熊笹を掻き分けて登った丘の上にひとり立っていた.大したことはしていないのに,なんだろうこの達成感は.割と幼い頃[…]
帰れない秋
10月の終わり,小春日和の羽田空港から1時間半ほど飛んで降り立った釧路空港から外に出た瞬間,「さむっ」と呟いた.それは北海道に着くたびに,どんな季節でも繰り返す儀礼でもある.北海道の秋は短い.一般的な印象とは異なって昼間は普通に暑い8月を過[…]
脳内宇宙の表出、あるいは未来の視界
エゾリスもいるというこの場所は,春になると望遠レンズを担いだ人たちで溢れる.一方望遠レンズなんて持っていない自分はエゾエンゴサクとカタクリの群生を広角レンズで撮るのだった.エゾリスこそいないけれど,人混みから離れて,木々の間から差し込む光線[…]