Category: 根暗草子 (1/5)
#25 フレディ | 根暗草子
“葉っぱのフレディ”という絵本がある.小さい頃に情操教育とやらにやたらと熱心だった親が買い与えてくれた絵本だ.ただの「小さい頃に読んだ絵本」ということであれば特に記憶にも残らないのだけど,この絵本は強烈に記憶に残っている.それは何故かといえ[…]
#24 接触不良 | 根暗草子
その日は何かがおかしかった.かなり前から自他ともに認める“コミュ障”だけど,他人との関わりには遠心力を効かせつつも,日常生活では不都合がないようになんとかがんばっている.あまり深い関わりとかはしないまでも,とりあえず必要最低限のやり取りをス[…]
#23 もしかしてアイドルなんじゃないかって思うことにした | 根暗草子
5年振りに別府に来た.2日に渡り別府という街を歩いて,この街は面白いというか,他にはない特殊な街だなと思った.言わずと知れた有名温泉街という観光地の顔を持っている.ただし,「ただの温泉地」の留まらないのが別府の懐の深さだと思っている.だいた[…]
#22 あの日、もし明日世界が終わるなら今日はピアノを弾くとまで言ったのに | 根暗草子
そういえば電子ピアノ買ってないな,って思い出した.今のアパートに引っ越してからのこと,いつだったか電子ピアノが欲しくなって,サイズを調べたら部屋に置き場所がないことに気づいた.そして無駄に横幅を確保している棚を,もう少しスリムで高さのある棚[…]
#21 或いは長すぎる思春期の終わり | 根暗草子
早いもので社会人生活も4年目を終え,5年目がはじまった.なりたいものは明治期の文豪の小説に出てくるような高等遊民と言って憚らず,神を信じないと言いながらも実家の裏庭に油田が出て仕事をやめられるように神に祈り,入社式への出社が嫌すぎて列車に揺[…]
#20 空蝉 | 根暗草子
西暦32XX年,愛知県は東西に膨張を続けていた.そんな宇宙を覆い尽くそうとせんとする愛知県をなおも走り続けている新幹線は,それでも昔のまま,三河安城駅を通過する時に名古屋駅の到着案内──列車は只今三河安城を定刻で通過し,あと何分で名古屋に着[…]