Bluelight Sonata

2022-04-18

#13 いつか行く先の散華 | 根暗草子

On Nakano Ave, Nakano, Tokyo.

ようやくと言うべきなのか,あっという間にと言うべきなのか,両方の気持ちが混在したよくわからない状況で社会人3年目を終えた.

2年目と3年目の大きな違いは,ついに後輩ができたと言うことで.しかも何かの間違いで自分が教育担当になった.絶対向いていないと思ったし,何なら思うどころかそう言ってみたりもしたけれど,それでも自分がOJT担当ということになった.


自分が新人だった頃は今のようにリモートワークが当たり前の状態ではなくて,──今思えば信じられないことに──毎日会社に行って,OJT担当の横で仕事をする,というのが当たり前だった.

今はその当たり前が当たり前ではなくて,「新人が横にいない」とか「教育担当が横にいない」というのが当たり前になっている.一方で自分は”その”当たり前環境で育った人間ではないので,リモートでどう教育担当やったもんかな,というのがまず難題だった.それでなくても後輩に何か教える,というのが得意じゃないのにね.

幸いなことに,担当する新人が同じ部門に配属された新人たちに比べればダントツで優秀だった.明らかに向いていない教育担当をしつつ,それでも発狂することもなく1年を終えられるくらいには.

常にZoomを接続していつでも相談できるようにしてる,という他の先輩・新人コンビのウェットな関係性を横目に見つつ,「あの子は優秀だから」を言い訳に割とほったらかしにしていたけれど,それでもそつなく育っていったので,最早教育担当なんていらなかったんじゃないの?と思わなくもない.


ただちょっとショックだったのが,そんな優秀な新人を抱えてもなお,危うく「それは考えればわかるよね」と口走りそうになってしまう自分の内に秘めたる老害感.

身体は順調に老いて,価値観のズレも積み重なっていく,それは仕方ないけれど,悪い老い方をするくらいなら,せめて散り際くらいは鮮やかにありたい.

新人にとっては何の役にも立たない教育担当だっただろうけど,こちらとしてはそういう心の持ちようを整理できたという意味では,案外悪くない経験だったのかもしれない.

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