#09 俯瞰の境地 | 根暗草子
数年前に一瞬やる気を出して,そして三日坊主で終わりかけた登山趣味が細々と復活して,カメラ趣味とフュージョンした結果,俯瞰撮影にハマっている.
ただ俯瞰で景色を撮っても面白みに欠ける,何か動きのある+1が欲しい.ということで俯瞰撮り鉄というジャンル(?)に落ち着いている.
俯瞰撮り鉄が良いなと思うのは,まず実利的には周りに人が少ないところ.マイナージャンル故に撮影のための人だかりができるということがまずない.ついでにマイナーな山を選ぶと,マイナーなロケーション×マイナーなジャンルで信じられないほど人がいない.
撮り鉄が一種の社会問題化している今,線路際で鈴なりの三脚を作っているところにノコノコ出ていく気にもならない.撮り鉄に限らず,普通の観光地でも人が多いと鬱陶しいし,トラブルもある.このご時世だし,まず人が少ないというのが大きなメリットだと思っている.だいたい,トラブルなんてのは複数人が集まると起こるものなのだ.
ひとりはいいぞ,トラブルがなくて.ついでに他人との関係性から生まれるものも何もないが.
一方でメンタル的趣味的に良いなと思うのは,俯瞰という行為そのものがハマる.ハマるというか,自分のスタンスそのものなので,とてもしっくりくる.
自分は基本ひねくれ者で,斜に構えているので,みんなでワーッと盛り上がっているところに入っていくことができない.集団が盛り上がれば盛り上がるほど冷めてしまう.ワーッとなっているところを,少し離れたところから眺めているほうが楽だと思ってしまう.
そういう精神性は,俯瞰撮影の構図そのもので.
紅葉の保津峡を舟が下って,1km弱離れた山の上までも歓声が聞こえてきて,紅葉を撮ったり自撮りしたりして盛り上がっているんだろう.そこに多分観光客が乗っているであろう特急が走り抜けて,トンネルとトンネルの間で一瞬見えた紅葉に車内が盛り上がっているはずで,それを離れたところから遠巻きに撮る自分がいる.
自分の人生の構図をギュッと凝縮した関係性がここにある.ハマらないわけないんだなあ.