Bluelight Sonata

2022-07-24

夏の下り坂を自転車で走り抜けたら記憶の扉が開いた

With overlooking the former Akasaki elementary school, at Tsunagi, Kumamoto, Japan.

その日,南九州で梅雨が明けた.


南九州3県を巡る旅は,宮崎からスタートし,”梅雨最終日”の大雨で倒木が起きて,2時間ほど県境の街に留め置かれたりもしたが,翌日からは嘘のような快晴となった.

今になって振り返ると本当にあれが梅雨明けだったのかは,果てしなく──その後復活した前線でまたしても南九州は大雨に襲われているので──怪しいところではあるけれど,少なくともその日のニュースでは,梅雨明けということになっていた.

そんな灼熱の中でレンタサイクルで前から行きたかったスポットを巡ってきた.


目的地までは思った以上に高低差があって,梅雨明けの灼熱の中で汗だくになって坂道を登る羽目になったけれど,その分帰り道は下り坂で.クソ暑い中,車も来ない広い下り坂の道を自転車で駆け下りていくと,中学生の頃を思い出した.

中学の頃,「家に帰ってゲームで遊ぶ以上に魅力のある内容の部活がない」という理由で,当たり前に部活に入る風潮の中で部活に入らなかった自分は,それでも部活的な何かへの薄っすらとしたこだわりは持っていたのか,「自転車で帰る」という行為に謎の方向に進化を遂げていた.所謂「帰宅部」というやつである.

まあ,やっていることはくだらないことで,「自転車置場のチャリを入れるところ(前輪を挟むアレがあるところ)に,自転車に乗ったままピッタリ入れる」──そして失敗して股間を強打して悶絶する──とか,「家に着くまで絶対足を地面につけない」──そして信号待ちのためにグルグル回り続けている途中に,歩道と車道の微妙な段差に車輪を擦ってコケる──とか.

あと,早く帰りたいから部活に入らなかったくせに無駄に自転車で遠回りして帰ったりしていた.ちょっとした高台のほうまで自転車で足を伸ばして,特に何をするわけでもなく,帰り道の下り坂をノーブレーキで駆け下りていったり.周りに人もいないので,適当に歌を歌いながら.そういえばあの日も汗だくだった.


高校の頃の記憶すら曖昧になってきた今,中学の頃の記憶はかなり薄れているけれど,下り坂を自転車で突っ走っていく行為がトリガーになって,吹き付けてくる風といっしょにぶわーっと記憶が蘇ってきた.

旅先で押し寄せるノスタルジーはなかなか悪くなかったが,ついでに思い出したら恥ずかしくなる記憶まで蘇ってきたので,これには参った.これまた運良く周りに人もいなかったので,都合の悪い記憶をかき消すように大声で叫びながら坂を下っていった,南九州梅雨明けの日の記録.

Category: つぶやき