#04 明け方の追憶 | Just before the dawn
───コロナワクチン2回目接種翌日の明け方を振り返って.
AM2時.
確か23時頃に布団に入って,3時間が経過.寝苦しくて目が覚める.
「触った自分の身体が熱い」と思いながら起き上がって,なんかaikoの歌詞にありそうなフレーズだな,と思ってひとり笑う.中々に余裕があるが,笑っていられたのはここまでだった.
起き上がって冷静になると,腕が痛くて,頭も痛い.もっと言うと,全身の関節が痛い.「身体の節々が痛む」なんていう表現は,こういうときに使うんだな,と思った.
頭が痛いので冷えピタを貼ってみる.冷えピタなんて貼るのは子供の頃以来.あの頃は知らぬうちに母親が冷えピタを貼っていてくれたりしたものだが,今となっては節々が痛む身体で自分で冷凍庫まで這いずっていかないと冷えピタを手に入れることさえできない,なるほど一人暮らしの限界とはこういうことか.
ついでに用を足して手を洗ったら,擦るだけで手のひらが痛み,愕然とする.
AM3時.
冷えピタの冷たさで目が醒めたのか寝付けなくなってしまう.やらかした.
相変わらず身体が痛いので, ロキソニンを飲むか迷う.迷った結果,ロキソニンを取りに立ち上がるのが面倒でやめる.枕元に置いとけよ,バカ.
徐々に悪寒がし始めて,その後体温が上がってくるのを感じる.ああ,寝る前の「熱全然出ないじゃん,こりゃ明日仕事休めんな」とか言っていた頃の自分を呪い殺したい.熱でないほうが良いに決まってるだろ.タイムマシンができたら真っ先にあの時間平面の自分を消しに行く.絶対に許さないリスト上位筆頭である.
徐々にフィーバーしてくる体温を前に,だんだん弱気になってくる.そういえば一人暮らしを始めてから,寝込むような風邪をひいたこともなかった.多分,一人暮らし開始と同時に潔癖症が発動したからだろう.こまめに手を洗う癖はなかなかどうして悪いものではない.
いやしかし,こうして机の上のロキソニンを取る気力すらない今,人間一人で生きていけるなんていう言説は大間違いなんじゃないかと思い始める.ああ,身体中の関節が痛んで眠気が飛んでいく.新聞配達の原付の音とキジバトの鳴き声が聞こえて,それでもまだ眠りにつけない.
明け方のメモはここで終わっている.
その後うたた寝を繰り返して朝を迎え,熱も更に上がっていたので午前休にさせてもらい, ロキソニンをかじって寝た.午後には元気になったと思い普通に仕事をする社畜っぷりを見せつけたところで, ロキソニン が切れて再び熱に苦しみ始める.結局最終的に本調子に戻ったのは接種翌々日の朝になってから.
罹患したときの症状とリスクを鑑みれば,接種してよかったと今でも思っているけれど,それでもただ辛い明け方だった.とは言え1日もすれば体調も元に戻ったので,今となってはこうしてその時のメモを眺めながら,そのあまりに弱気な思考に笑っている.