2020-06-30
#01 目覚まし時計の生きがい | Just before the dawn
べらぼうに早くかけた目覚まし時計より早く起きた.
目覚まし時計とは考えてみると難儀な役割だ.鳴れば嫌がられ,何度も叩かれる.気を遣って何度も何度も間隔をおいて鳴り続けて,ようやく朝が来る.褒められもせず,誰に顧みられることもなく,ただひたすらに規則正しく朝を鳴らす.
うちの目覚し時計達は,──心配性なので目覚まし時計が複数あるのだが──比較的優秀な子たちだと思う.鳴動をすっぽかすこともなく,健気に毎朝鳴り続けている.スマホのアラームがたまに鳴らない──と思われる──のとは対照的と言えるだろう.
そう,目覚まし時計のほうが当然,目覚ましに対する本気度が高いのだ.スマホは他にもやれることがたくさんあるから,目覚まし失格でも他に生きる道などどこにでもあるのだ.一方で目覚まし時計は目覚ましの一点突破.そこに彼らの生きがいがあるのだ.
今日も目覚まし時計はきっと,朝を待望しながら夜明け前の1秒を刻んでいく.
Category: Just before the dawn