energy | 傘の下でバウヒニアが薫る
香港に発ったのは金曜日だが,チケット類を予約したのは水曜日.つまり,航空券とホテルの確保以外に何も準備をしないまま香港に来た.「土日のどちらかでヴィクトリア・ピークの夜景を見に行きたい」以外,何ら見通しすらもっていない.金曜の夜に香港に着いたら,その場で土曜日からの予定を決めれば良いと思っていた.
でも,気づいたら寝てた.ノープランで迎える土曜日の朝である.
こうなりゃヤケだ,ということでノープランのままホテルを出てきてしまった.一応エリアの特徴くらいは知っているので,後はホテルを起点としたランダムウォークで出たとこ勝負.
結論,有名観光スポットをしっかり回りきったわけでは全然ないのだが全く問題なく楽しめた.
香港の良かったところその1.「シムシティとかCities:Skylinesでしか見たことがないような細長い高層ビルが林立する様」.東京ではいけ好かない臨海エリアでしか見られないようなタワマンより高いだろうと思われる建物が,その辺の街中に普通に建ちまくっている.土地が少ない故とは言え,ここまでの迫力とは思っていなかった.
特に香港島は,そうした超高層ビルが林立する僅かな平地に,ヴィクトリア・ピークの山地がすぐそこまで迫っている.ヴィクトリア・ピークに向かうバスや展望台で本当に驚いたのだが,結構な標高から市街地を見ているはずなのに,その目線と同じ高さまでビルがそびえ立っている.しかもオフィスビルとかタワーとかそういう類のやつではない.普通のマンションっぽい.何なら洗濯物とか普通に干されている.
日本国内ではこの迫力ある景色が見られるところは,多分ない.強いて言うなら「もし神戸の高級住宅地エリアに大量のタワマン生やしたらこうなるだろうな」という感じだ.
香港の良かったところその2.「交通機関がパワフルなところ」.
折しも日本は運輸業の働き方の規制が厳しくなったとかで,人手不足が叫ばれていた公共交通機関の需要と供給のバランスは完全に崩れて底が抜けた感がある.この前,梅を見に行ったら「運転士不足で今年は直行バスはありません」と言われた.比較的余裕あるはずの関東近郊でコレだ.国内どこに行っても減便減便の嵐になっている.首都圏の路線バスですら減便が出ているらしい.
その点,香港はすごい.パッとカメラを構えて複数のバス,タクシーやトラムがフレームインしている率が高すぎる.こんなにバスやトラムが連続運行してお客さんいるわけ?と思ったらちゃんと乗客で満員になっている.
国内旅行で地方に出るとバスは減便,商店街はシャッター通り――自分は割とそういう寂れた雰囲気が好きで敢えてそこに行っている部分があるのは否めないが――,溢れんばかりの活気みたいなものを感じられることは少ない.その点,香港はそこら中にエネルギーが溢れている感じがあって良い.そういうものからしか得られない栄養みたいなものが,多分ある.